安らかに。

6月に自ら命を絶った知人を弔いたくて、でも身寄りのいない彼女は、どこに葬られたのかもわからなかった。彼女が好きだった花屋さんをたずねると、一人勝手に逝ってしまった友人のことを花屋さんは知らなかった。その死を伝えると、冷静でいながら内心はとても動揺していたと思う。彼女が好きそうな花束を作ってもらった。それは蕾がピンクに膨らんだ美しいバラで、深いルビーのリボンをつけてくれた。彼女のことを少し話をして、それから彼女が住んでいた家に花束を置きに行った。そして、祈った。少しだけ、心が落ち着いた。寂しく逝ってしまったけど、ちゃんと、覚えてるよ、余計なお世話かもしれないけど、想っているよ、と伝えたかったのかと思う。どうか、どうか、あちらではいい人を見つけて、幸せに。